妖しがりて寄りてみるに

「すごく色っぽいね、ヒヨちゃん。
 どうしちゃったの?」

「浴衣だからじゃないの?」

私は、ぞくぞくする気持ちを悟られないように、冗談ぽくそう言った。


「誘ってるでしょ。
 ずっとキスしてないしね。」


体温と心臓の鼓動がどんどん上昇する。


「そろそろ、キスしたくなった?」


そう言いながら、髪をまとめる蓮くんの指が、すごくいやらしく感じる。

私は最低な上に、エロ女だったのかも…
でも、ドキドキが押さえられないよ。


蓮くんは、後ろからそっと私の体を包みこんだ。

首筋にキスをする。


耳元で、「帰ってからね」っていう囁きが聞こえた。


私は、感情があまりにも高ぶって、目が潤んでしまったみたい。


もっとちゃんと抱きしめられたい。

キスして欲しい。


触れられたいよお。



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