恋愛喫茶店 ~罪と一緒にスイーツを~
きっと、お父さんとお母さんは、「新しい友達、できた?」とか聞いてくるんだろうなぁと思う。
とりあえず、ウソをつこう。
駐車場まで嬉しそうに走って、ドアを開けて車にいきおいよく乗って、もし、お父さんとお母さんに聞かれたら、笑顔で「できた、できた!」って言おう。
上手にできる自信はないから、おおげさなくらいがちょうどいいかもしれない。
靴をはいた。後は、一気に走って、ウソをつくだけ。
足に力を入れて……
「ちょっと、ちょっと、待ってよ!!」
振り向いた。もしかしたら、わたしかもっていう望みもあったから。
わたしと同じくらいの背、ショートカットは元気そうなその子にぴったり似合っていた。
目は大きくなかったけど、どこか力強くて、わたしが持っていない部分を持っていそうな気がした。
その子が、わたしの目の前で、とまった。
どうしたらいいかわからなかった。
話しかけたらいいのか、それとも「大丈夫?」と声をかけたらいいのか。