食人姫
パァン!
と、炸裂音が辺りに鳴り響く。
それが何を意味するのかを悟った俺は、麻里絵の首に腕を回し、その口を手で覆った。
悲鳴を上げないようにと。
発射された弾丸が哲也の頭部を捉え、血と脳漿が飛散する。
急に、糸が切れた操り人形のように、地面に倒れる哲也を見て……麻里絵の口を塞ぐ手に力がこもる。
なんで……なんで哲也が撃たれたんだ?
爺ちゃんの孫だろ?
話も聞かずにいきなり撃つなんて普通じゃない!
そもそも、谷の子供達を化け物から守る為に、儀式をしようとしていたんだろ?
なのに……なんで哲也を!
怒り、悲しみ、恐怖……どれとも取れない奇妙な感情が湧き上がってくる。
「全く、警護が賊を殺せんでどうする。わしが警護をやっとった時は、三人の賊を斬り捨ててやったわ。とりあえず、巫女様が無事か確認してこい。もしもいなかったら大問題じゃぞ」
爺ちゃんの声で、警護達が本殿へと走る。
哲也の遺体を見て、ガタガタと震えながら俺は、どうして良いか分からずに立ち尽くしていた。
何も考える事が出来ない。
ただ、頭の中には「どうして」という言葉だけがグルグル回っていた。