海までの道 ~あなたと私の距離~
彼女には大切な仕事があった。
それは夢を叶えるためのチャンスだった。
休むわけにはいかない。
このチャンスを逃すわけにはいかなかった。
他の人には任せられない。
今、今、私にすべきことは…
航太は怒った。
生命を君は、君の都合で絶つというのか。
授かった生命を育む気持ちはないのか。と…
それでも彼女は言った。
「今、今だからダメなの…今じゃなければ…」
「俺が責任を持つ。だから結婚しよう。子どもも産んでくれ」
それでも彼女は言った。
「なんで今なの。責任を持つって?私の夢にまであなたは責任をもってくれるというの」
「そんな冷たい女だとは思わなかった。勝手にしろ…」
航太はそれだけ言い、彼女が何か言おうとしていたのも聞かず別れた。
二人は別々の道を歩むことになった。