【完】山崎さんちのすすむくん
虚空



慶應三年 七月一日


曇り



夕美が消えた。


帰ったのか。


わからへん、わからへん


あれは何や


確かにあいつは一回だけ俺の事を烝ちゃんや言うた


それに最後のあの言葉


やっぱりてなんやねん


今まで嘘をついとるあれやなかった


やのに全部わかったようなあれはなんやねん


わからへん


なんでやねん



あの場に残されていたのは着物と簪、匂袋


櫛だけは何処にもなかった


先の世の娘
決して交わることのない刻


心積もりはあった


あったけどや


ほんまなんやねん




< 453 / 496 >

この作品をシェア

pagetop