first love
花びらが浮かぶ湯船にあたしたちは浸かる。
「俺がさっきあげた花も入れればよかったのに」
「あれは飾る。
一瞬で消えちゃうの、悲しいから」
「美華のくせにそんな可愛いこと言う?」
「いつもは可愛くないみたい」
そう言うと笑い合った。
「ねえ翔、欲しいものないの?」
「美華ちゃん!」
いつもの。
「そーゆーのはもういいから。(笑)
もうすぐ誕生日じゃん」
「あー、そうだなー。」
「去年ちゃんとお祝いできなかったから今年はちゃんとしたくて。
でも翔の欲しいものわかんない」
「なんにもいらない!
欲しいものはもう全部持ってるから!」
「はぁー。こまるー。」
あたしがいろいろ考えてると、翔は突然あたしをきつく抱きしめた。
「な、なに!?」
「欲しいものっていうか、お願いごとでもいい?」
「うん、なに?」
翔からそんなこと言われたの初めてで、ちょっとドキドキした。
「美華の生まれ育った場所へ行きたい」