first love
翔があたしを抱きしめた。




「ピル…飲んでる?」

「うん」




翔の口から「赤ちゃんが欲しい」なんて、聞けるとは思ってもなかった。



そんなこと話したことなかった。





「入籍するまではちゃんと避妊する。
入籍して、美華ちゃんがキャバ辞める気になってから、ゆっくり赤ちゃんのこと話し合おうな」



翔がそこまで考えてくれてるなんて知らなかった。

あたし、自分のことばかりで、今のことばっかりで
翔のこととか未来のことなに1つ考えてなかった。






「翔…ごめんね…」

「なにが?(笑)」

「今まで、全部。
翔のことなにも考えてなかった。
翔はあたしのことばっかり考えてくれてたのに…」


「美華は美華のことだけ考えててくれればいいよ。」


強がりな翔。

あたし、気づいてたのに。



本当は弱くて寂しがりやだってこと。

あたしと同じなんだ、翔は。





「ねぇ、美華ちゃんー。
エッチしづらいからそろそろ泣き止んでよ(笑)」


「…無理…」



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