消えない傷-Only You-
ふたりアスファルトに座り込む。
そんな私たちを嘲笑うように雨が降ってきた。
「比呂くん帰ろ?」
「……嫌だ」
「比呂くん…?」
「沙耶まで俺をひとりにするのか?」
「そんなことしない!!」
思った以上の大きな声に自分で驚く。
私が比呂くんを独りにする訳ないのに…
どうしたら分かってくれるの?

「今日は…今日だけはひとりでいなくない…」
「分かったよ。比呂くん…分かったから…」

震える彼をそっと抱き寄せる。
涙と雨で濡れた頬をそっと包み込む。
私たちはコドモじゃない。
これからどうなるかなんて分かってる。
でも大人と呼ぶには幼すぎた。

「…行こう」
比呂くんの冷たい手に引かれて歩き出す。
こんな形で…触れたくなかった…
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