うちに動物が来た
うちに猫が来た_プロローグ

今は1月。
そう、受験シーズン。

単身赴任中の父に
心配掛けない為にも、
私はしっかり勉強も出来る子供に ならなければならなかった。

そんな邪念が取り巻きつつ、
勉強を再開させようとした時、
玄関先でにゃあにゃあと
声がした。
何だろうと玄関を開けた。

『な、何これ…』

「にゃあ、」

『猫ちゃん…だよね、』

じっと見つめる先には、
もふもふのかたまり。
そしてそれが入った箱には、
お願いだから拾って下さいと
どこか崩れた文字が
書かれていた。

捨て猫だろうか。
ふわふわのその身体を
ひょいと持ち上げる。
毛は少しごわごわとしていて、
少しブラウン…いや、
レッドブラウンと
いうべきだろう
赤茶の毛が混じってい た。
くりくりとした瞳は
黒目だが
少し赤混じりの様な気もする。

というかこんな休日に
一体何だろうか。
なぜわが家の前に置くか。
拾えと、拾わないといけないと、
全くそう言われてる感が
否めない。

『とりあえず今日だけだからね』

「んにゃ」

猫を箱に戻し家の中に入れる。
これが彼との出会いだった。
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