うちに動物が来た
うちに犬が来た
家の中に入れてもらうと、プレゼントボックスとでもいうのか、大きな箱に入れられた。
箱の側から人の気配が消えふぅと一息。
全く手荒なものだ。

朝までは開かないんだろという考えから今夜は眠る事にした。



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「ねぇね見て!!わんちゃん!!」



すごく五月蝿い声で目が覚めた。
彼女の第一印象は五月蝿い、それだけだった。

黒い髪が揺れ大きな目が俺を見つめる。
後ろには“ねぇね”と呼ばれた子だろう、少し身長の高い少女が居た。
聞いてはいたが、やはり少女が二人とは面倒臭そうだ。

そのさらに後ろには、嬉しそうに微笑む男女の姿があった。



「まぁまっ!!サンタさんがわんちゃんくれたっ!!!」

「良かったわね、美緒」

「うちもわんちゃんが良かった…!!」

「まぁ、皆で飼うんだから」



着替えてらっしゃい、と母親に促され“ねぇね”は連れて行かれる。
どうやらこの子はここで着替える様だ。

…少女の着替えに興味などないが。
ふと視線がこっちに向く。



「…なまえ、どうしよっか?」



小さな子供だというのに儚げな笑顔、まるでさっきとは別人の様に振舞う彼女に何も言葉を発せずにいた。

えへ、と笑った彼女はまたあとでかんがえよっかと俺の頭を撫で、後ろを向いた。
タンスを漁る少女の後ろ姿に意を決した。



「…ねぇ、」
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