駆け抜けよ
第一章 此度より
振り返るとそこには見慣れぬ少女が立っていた。

年はナキと同じくらいであろうか
黒く大きな目と同じように黒く艶やかな長い髪を持っている、可愛らしいという言葉が似合うような少女だった。


「・・・・アンタ旅人?」


ナキは少女の格好をちらりと見てそう聞いた。

少女は髪を高い位置でひとつに結んでおり、動きやすそうな服に見を包まれている。
そして背中には少量だが、荷物が背負われて、靴は土に汚れていたり所々擦り切れていた。

どれ程の遠いところから来たのか、ナキは呆れを通り越し、尊敬しそうになった。



こんな何も無いところへ、
この女は一体何のようなのか、と
どんな暇人だ、と



「あ、はい。そうなんです・・・・行きたい所があるんです・・・・案内を頼めないでしょうか?」


「何で俺がせにゃならんのだ」と言うのを必死に飲み込み、少女を見やった。
少女はそんなナキの心情を察してか


「御迷惑は承知の上でお願い致します・・・・!!私はどうしても行かなければならないのです・・・・!!」


頭を勢い良く下げて必死に頼み込む。


ナキには一体何が彼女をそこまで必死なのか彼には分からなかった。
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