新訳 源氏物語
少し距離をとった後、鮮やかな紅色の唇が言の葉を紡ぎ出す。

「おはよう、桐。良い朝だね」

鈍い音をたてながら回転を始めた頭が、映像化された昨夜の記憶を心中に映し出す。

吐息によって軽くかき消された灯り。

直ぐ様に黒一色に塗り潰された視界。

徐々に慣れ始めた両の瞳が映し出したのは、本来の輪郭を失いながらも混沌の暗闇に浮上した美しく白い裸体。
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