情熱のメロディ
 「柔らかい……」

 アリアの素肌を、カイの大きな手が弄っていく。カイが触れるところからじわじわと熱が広がって、アリアは何度も身体を震わせながら熱い吐息を零した。

 「カ、イ様……あっ」

 何をどうしていいのかわからず、アリアはカイの名を呼ぶ。カイははぁっとアリアの耳元で息を吐き出し、それからアリアの身体を軽々と抱き上げ、ベッドへ降ろした。

 アリアの視界が変わり、カイが少し呼吸を乱してアリアに覆いかぶさってきた。もどかしそうにシャツのボタンを外していくカイはとても色っぽく見える。

 綺麗な指がボタンを外す度に、アリアの心臓は音を立て、だんだんと露になっていく男性の身体に視線が釘付けになる。

 しなやかな身体の線、割れた腹筋はきっと軍の訓練などで培ったものだろう。

 「アリア……」
 「カイ様……ん…………っ、は」

 また深く唇が重なる。

 息ができないほど求められて、アリアは涙を滲ませながらカイが与えてくれる快感に身を委ねる――静かな部屋、大きなベッドの上で素肌を触れ合わせ抱き合う。
 
アリアの唇からから零れる音も、お互いの鼓動も、2人にとって初めての音楽――熱く、甘美で淫らなそれに酔いしれる。

 「夢でしか……会えなかった君に、今、こうやって触れて……気持ち、良くて、嬉しい」

 カイが低く囁くと、アリアの身体の奥が疼いて、それに呼応するようにカイが息を詰める。

 「……もう、夢じゃ、ないです……」
 「うん……」

 夢ではなく、今、確かにここで……2人はお互いの体温を分け合った――…
< 96 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop