情熱のメロディ
 「最初は、お母様に似ている子だなって思っていたくらいだった。でも、君の奏でるメロディがどんどん情熱的になっていくことに惹かれて、こんな真っ直ぐな気持ちが……欲しいって思うようになった」

 そう思ったときにはもう、カイは恋に落ちていた。

 「文化省の手伝いで君に直接会えたときは、とても緊張した」

 カイはそう言ってクスッと笑う。緊張していたのはアリアの方だったのに、カイも同じだったのだと知って、アリアも頬が緩んだ。

 「私……カイ様が、私の音楽には炎が灯っていると言ってくださったとき、とても嬉しくて、貴方に憧れていました」
 「うん……知っているよ。あのときから、君の音は格段に柔らかくなったから。でも、今日は……ふわふわしているだけじゃなくて、真っ直ぐで熱くて、僕のこと……欲しいって言ってくれた」

 アリアはカイにギュッと抱きついて、「はい」と答えた。

 「カイ様からの“真実の愛”が欲しいです」
 「……あげるよ。君が、嫌だっていうくらい、たくさん」

 カイもアリアに足を絡めるようにしてアリアの身体を抱きしめ返してくれる。そしてカイが身体を少し浮かせ、再びアリアに覆いかぶさった。

 「ぁ……」

 アリアを見つめる瞳が、また熱を宿していてアリアの鼓動がドクンと弾む。カイはするりとアリアの滑らかな肌を手でなぞって膨らみを包み込む。

 「もう一度、君を感じたい……」
 「あっ」

 アリアの言葉はカイの唇の中へと吸い込まれ、カイとアリアが後夜祭の広間へと戻ってくることはなかった――…
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