彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐

ギリギリと力を込めて握りしめていた手をそっと開いた。


ポタリ……。


なにかが床に落ちた気がして、俺は下を向いた。


いつの間にか握りしめた手の平からは血が出ていた。


血はそのまま床へと落ちて、ほとんどはじかれることなく小さなドットを描いている。


俺はハッとしてハンカチを取り出し、それを握りしめるようにして止血した。


「怪我してるの？」


いつの間にか帰る準備をして机の前まできていた美奈がそう聞いてくる。


「あぁ……」


俺は息を吐き出すように返事をした。


ジワリと額に汗が滲んでいるのがわかった。


嫌な予感がする。


諒と美奈を家に呼ぶべきじゃないかもしれない。


自分から相談しておいて勝手だけれど、そんな思いが一瞬よぎった。