彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
「諒! やめろ!」


薫子と諒では諒に勝ち目はない。


昨日の出来事で薫子の力は俺が一番よく知っている。


「落ち着いてくれ諒。薫子を壊す事はできないんだよ」


「燈里、やっぱりお前この人形を手放すことができないだけだろ」


薫子の胸倉をつかんだまま、諒が俺を見た。


その吊り上がった目に思わずひるんでしまいそうになる。


「違う。そうじゃない……」


「ならなんで壊さないんだよ! 怪我させられたんだろ!? 噂のことが不安なんだろ!?」


「そうだけど……でも……」


なんと言えばいいのかわからなかった。


諒の言っていることは当たっている。


薫子を手放す事を恐れている。


だから決断もできずにいる。
< 224 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop