異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



バルドは勅命の書簡を持ってきた使者と会うため、席を外してる。レヤーは当然厩舎に預けられてるけど。


ヒスイは当分あたしの代わりに水無瀬の巫女を演じ、ロゼッタさんが護衛であたしが侍女になるって筋書き。なかなかよく考えたものだよね。


(だって、あたしはお姫さま役なんて似合わないもんね)


日本にいたときだって、髪の毛の手入れ以外は放置してた。忙しくてお金がないのも理由だったけど、一番は面倒だと考えてたから。


恋を知らない好きという感情を知らないあたしが、綺麗にしたって意味があるのかな?


親やおじさん以外に可愛いなんて言われたことがないし、自分の顔やスタイルが地味で並みより下だってのは知ってる。


芹菜みたいに好きな人でもできれば別だったけど、男の子はみんな可愛い子や綺麗な子にばかり目がいく。何の取り柄もないあたしが、努力してもたかが知れたもので。すぐにやめちゃったっけ。


やっぱり、お姫さまはふさわしい人がなるべきだ。地味で平凡な庶民は、あくせく働いていればいい。


あたしにはお姫さまなんて絶対似合わないんだから。


そう思いながら着替えようと隣室に移ったのに。メイドさんに渡されたのは、なぜかミントグリーンのワンピース……というか、ドレスだった。


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