異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「は~……やっぱり朝は玉露に限りますね」


ペットボトルのお茶をすすりながら、しみじみ言う巨大な鳥。もう片手には鶏の唐揚げ……共食いってやつじゃないでしょうか。


今、あたしたちはレヤーの羽から出したレジャーシートを被せた簡易テントの中にいます。さすがに日陰がない場所でずっと日光に焼かれるのはキツイもんね。


あたしは野菜サンドイッチとペットボトルの紅茶をいただきながら、キョロキョロと外を見回す。


植物もろくに生えてないし、生き物の気配もない。水場なんてもっと望み薄っぽいな。


「ねえ、レヤー。飛べないなら歩くしかないけどさ。やっぱ行くあてなんてないよね?」

「そうですねえ。でも、磁場から言えばあの山脈は東側になり渓谷は西側。渓谷を越えれば海があるみたいですが、おすすめは北です。近くに集落っぽいものがありそうですから」

「へ? あんたわかるの!?」

「まあ……この大陸に来た時にある程度の地理は把握してますし、術で風や自然に訊ねればわかりますよ」


何でもないように言うけど、レヤーって実はすごい鳥なんじゃ……。


「あ、でも。地球単位で言うと北の集落までは100kmほど離れてるそうですけど」


…………。


マジですかいいっ!?


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