異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



もちろん皇帝陛下のそばには側近もいたし、護衛として正式な所属の軍人もついてる。


だけど、誰一人として止めない……どころか。呆れなんてものを遥かに通り越して、絶対零度の凍りつきそうな白い目を皇帝陛下に向けてる。一応主君なのに。主人なのに。


日頃からこのオッサ……皇帝陛下がどれだけちゃらんぽらんな生活をしてるかが窺い知れますな。


そりゃ確かに有能だし鋭い人ではあるけれど、確実に女性の尻に敷かれて操縦されないといけないタイプだ。


……にしても。あたしが殴るアピールしただけで、光の速さでスライディング土下座してきた。日頃から土下座し慣れてるとしか思えない鮮やかさだった。


もしかしなくても、皇帝陛下って。


「あんた、もしかすると女の尻に敷かれて喜ぶやつ?」

「わ、ロゼッタさん!」


急にあたしと同じことをロゼッタさんが言うものだから、驚きながらも慌てた。いくらさばけたオッサ……皇帝陛下でも、失礼過ぎる。そう思ったのに。


「よくわかったな~皇后にはよくはたかれるし、アスカからはよく足蹴にされるけど。やっぱヒールで踏まれるが一番だよ~むふふ」


頬を染めながらうっとりとした様子で語る皇帝陛下……この国大丈夫? いろんな意味で。


一刻も早く誰かが跡を継いだ方が、誰のためにもなる気がしてきた。



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