異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
きらきらと輝き、散ってゆく欠片。その無数の光がわたしを包む。
そして……
わたしのなかに、数多の記憶が流れ込んできた。
――そうだ。
そうだった。
わたし……は。ううん……あたしは、水瀬の巫女……だった。
最後の戦いで……雷焔に記憶を喰われた。けれど……今。
千年分の翡翠の記憶が、全てあたしに受け継がれた。
「ヒスイ……ありがとう。さようなら」
あたしはそう呟き、最後に残った欠片を手のひらから風に乗せて飛ばす。
自由になった翡翠のカケラは――まるで涙のように輝き虚空に溶け込んでいった。