さよならさえ、嘘だというのなら

「うちの町民は風邪はひくけど、ガンにはかからない」
おじさんは俺の頭をポンと叩き
また自分の椅子に戻る。

「年をとって、弱ってきたら自然に死ぬ」

それが当たり前と思って
ずっとこの町で過ごしてきた。

「松本結衣ちゃんいるだろ」

「うん」

「次の日には意識戻って元気になってた。傷もあと一週間あれば完璧に消えるだろう」

そうなのか
よかった……。

「でもすぐ戻ると、みんな怪しむからさ。まぁ今回は特別なパターンとしてお前と結衣ちゃんと七瀬ちゃんには、高校卒業前だけどきちんと話をする」

「うん」

「絶対誰にも言うなよ」

「うん」

「……まだ……知るには早い年齢だから」
智和おじさんは寂しそうに俺に微笑む。

「それから、うちの町ほど裕福な町はないだろう」

なぜならば
ドロン山に入るのは
自殺希望者だけではない。

殺した後の死体処理に困る
黒い人達も大勢いる事実。

黒い人達の中には
国も絡んでいるらしい。

そんな人達と町ぐるみで契約をし
大金と交換で
ドロン山に運んでプルミルになる。

「そんな奴らの血を飲んでるの?俺達は?」
名前も知らない犯罪者もいるだろう
胃がムカムカし吐き気がするけど

「血なんてどれも同じだろ」
おじさんは冷たく答える。

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