さよならさえ、嘘だというのなら

「いい町だよ。空気も綺麗で水も美味しい。田舎だけど団結力は強く皆優しい。税金も格安で給料も高い」

町に残る人も多い。

「こんな田舎町。嫌だろ。俺だって嫌だった。でも親は外に出すのが心配で、なるべく手元に置きたいんだ」

うちの両親は
俺を町役場に入れたいって思ってる。

松本の両親は
プルミル工場で働いて欲しいって思ってる。

外に出てプルミルを飲み忘れ
人を襲って狂い死んだら困るから?

「あと、全国的に有名になった例のドロン山のサイトだけれど」

「うん」

あの最低なサイト。
うちの町を自殺志望者で溢れさせ
町の印象をクソにした
最低最悪なサイト

「あれの管理人は俺」

「はぁあ?」
開いた口がふさがらない。

驚く俺を楽しそうにおじさんは見ている。

「役場から頼まれてさ、俺が管理してる。町といがみ合ってるなんて嘘。町の依頼でサイトを立ち上げてるからさ」

もう
誰も信じられなくなりそうだ。

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