さよならさえ、嘘だというのなら

「こんにちはー」
俺はカンスケさんに挨拶をして通り過ぎ
サドルに腰を落した体制で、グレーのパーカーを着ている凪子の腕を取った。
細い腕だった。

「ちゃんと歩けよ」
ショートパンツからスラリと伸びた足が眩しくて、思わず目をそむける。

凪子は俺に腕をつかまれながら、歩いてきた道をまた俺と戻る事になる。

それでも彼女は反抗もせず
大人しく俺の隣を黙って歩く。

「じゃ」
店を三件分戻ったとこで
俺は凪子の腕から手を離しハンドルに手をかけたら、荷台が一気に重くなった。

振り返ると
須田凪子がちょこんと後ろに座ってる。

「西久保颯大君だよね」

「……うん」

「ドライブしたい」

赤い唇に言われて

俺は

拒否できなかった。


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