結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
ユウとレナはそれぞれの日々の仕事をこなしながら、挙式とパーティーの準備を進めた。

招待客をリストアップして招待状を手渡したり、郵送したり、パーティーのテーブルコーディネートや食事のメニュー……。

決めることや、やらなければいけない細々としたことがたくさんあって、何かと忙しい。

一般的な披露宴よりはカジュアルで簡素な形にしたので、やらなければいけないことは少ないはずのユウとレナだったが、一生に一度の晴れの日の準備と言うものは、こんなに大変なのかと目が回りそうになった。



その日も夕方に仕事を終えた二人は、式場に足を運んでいた。

先日、式場の担当者から、パーティーの幹事を何人かの親しい友人に頼んだらどうかと言う提案があり、誰に頼もうかと悩んでいたのだが、ユウがツアーの打合せの合間にメンバーに相談したところ、タクミが引き受けてくれることになった。

ただし、タクミから、仕事もあるし一人では大変なのでマユにも頼んで欲しいとお願いされ、マユにも頼んでみたところ、だったらシンヤも一緒に…と言う話になり、たまたまシンヤと会う約束をしていたサトシが、じゃあ自分も…と言うふうに4人の友人が幹事を引き受けてくれた。

それぞれ職種も違うことだし、4人もいれば誰かが仕事でどうしても行けないと言う日でも、最低でも一人か二人はなんとかなるだろう、とシンヤは言う。


そして今日は、幹事を引き受けてくれた4人と一緒に式場へ行き、幹事と担当者の打ち合わせをしたのだ。

ユウとレナは打ち合わせには参加しなくていいから帰れと言われ、結局は家に帰って、これから発送する招待状の宛名や、出席してくれた人たちへのメッセージカードなどを書いていた。

「はー…疲れたな…。」

「うん…疲れたね…。」

ユウとレナはくたくたになってベッドに倒れ込んだ。

「腕が筋肉痛になりそう…。」

「思ったより大変だな。ほら、腕出して。」

ユウはレナの腕を優しくマッサージする。

「ユウだって疲れてるでしょ?」

「オレは大丈夫だよ。」

「ユウ、優しい。」

「ん?優しい?」

「うん。すごく優しい。」

「レナにだけは特別な。」

「特別?」

「そう。特別大事だから。」

ユウの何気ない言葉が嬉しくて、レナはユウの頬にキスをした。

「ん?」

「私も、ユウが特別大事。」

「じゃあ、こっちにも。」

「うん。」

ユウがレナの唇に顔を近付けると、レナはユウの反対側の頬と、唇に口付けた。



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