結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
店の奥の席へ通された二人は、並んで座ると、いくつかの結婚指輪を店員に見せてもらった。

「いかにも!!って感じじゃないのがいいな…。」

ユウが立ち上がって、ショーケースの奥の方を覗き込むと、そこには明らかに他の物とは少し違った感じのペアリングが見えた。

「あの…あれは…。」

ユウがその指輪を指差すと、店員が丁寧にトレイに乗せて見せてくれる。

「これいいな…。」

「うん、私も思った。」

少し幅の広いプラチナのリングに青いラインが入ったシンプルでオシャレなデザインに、二人の目は釘付けになる。

「花嫁さんがブルーの物を身に着けると、生涯幸せな結婚生活を送れると言われているんですよ。」

店員の説明に、二人は顔を見合わせ、目を輝かせてうなずいた。

「これにします!!」

仲の良い二人を微笑ましく見つめながら、店員は丁寧に磨いた指輪を差し出す。

「すごくいいかも。」

「うん。」

指輪のサイズを計ってもらい、結婚指輪用のリングピローに収めてもらう。

指輪の入ったリングピローを箱に収めて紙袋に入れると、店員はにこやかにそれを手渡した。

「とても素敵でお似合いのお二人ですね。末長くお幸せに。陰ながら応援しております。」

二人は照れ臭そうに微笑むと、ペコリと頭を下げて店を後にした。

手を繋ぐと指を絡めて、二人は微笑みながら歩き出す。

「すごく、楽しみ。」

「結婚指輪?」

「結婚式で、あの指輪をこの指に、ユウにはめてもらうんだなって…。」

レナは左手の薬指を見ながら幸せそうに呟く。

「なんか、緊張してきたかも…。」

「どうして?」

「結婚のことが、どんどん具体的に決まって…オレ、リサさんから大事なレナをもらうんだから、ちゃんとしっかりしなきゃなって、じわじわ実感が湧いてきてる感じ。」

「じゃあ、私もしっかりしなきゃ。」

「なんで?」

「いろんな人に、ユウを任されたから。」

「いろんな人?!」

「うん。ユウをよろしくねって。ユウは、たくさんの人に愛されてるね。」

そう言ってレナは嬉しそうに笑った。


< 139 / 164 >

この作品をシェア

pagetop