結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
「それにね、ユウは自分のことすぐに、“オレなんか”とか“こんなどうしようもないオレ”とか言うけど…ユウは私の大事な人なんだから、そんなこと言わないで。私は誰がなんて言っても、ユウが好きだよ。昔からユウはいつも、私のこと大事にしてくれたでしょ。誰かに意地悪されたらかばってくれて、雷が怖くて震えてる時には大丈夫だよってそばにいて背中を優しくトントンってしてくれて…。ユウがいつも一緒にいてくれたから、私は寂しくなかったんだよ。だからね、ユウ。」

レナはソファーから立ち上がると、母親が子供にそうするように、ユウを優しく胸に抱きしめた。

「私も、ユウを守ってあげる。ユウが寂しくないように、悲しくないように、抱きしめてあげる。ユウが私にとって一番大切な人だから。」

「レナ…。」

ユウの目から、涙が溢れた。

レナにこんなにも愛されていることが嬉しくて、こんなにもまっすぐに想ってくれるレナが愛しくて…ユウは子供のように、レナの胸に抱かれて涙を流した。

「ありがとう、レナ…。オレ、変われるかな?レナを守るために、もっと強くなりたい…。」

「大丈夫。二人で、頑張っていこ。」

「うん…。」


レナはいつの間に、こんなにも強くなったんだろう?

ずっと自分がレナを守ってきたつもりでいたのに、気が付けばレナに守られている自分がいる。

(レナ…あったかいな…。)

もしもいつか…二人の間に子供が生まれたら…レナはこんなふうに、優しく温かく包み込むように、その子を愛してくれるだろうか?

惜しみなく愛情を注ぎ、時には叱り、慈しんでくれるだろうか?

そして自分も、その子のことを愛せるだろうか…。

レナの胸に抱かれながら、ユウは自分の考えに戸惑ってしまう。

(え…?子供…って…。今まで考えたこともなかった…。)

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