岡本くんの愛し方








「私、行ってくるね!」




椅子から立ち上がり、遠藤くんにそう言うと、笑顔でいってらっしゃい!と言われた。




私は走って教室を出る。




A組の教室の中を除くと、千尋くんは何処にもいなかった。




「あ、すず!」




「雅ちゃん、おはよう!
千尋くん知らない?」




私がそう聞くと、ちょっと驚いてから、笑顔になった。




「さっき女の子に呼ばれてたの。
多分D組の子だと思うんだけど、場所は図書室!
ほら、行っておいで!」




遠藤くんに続いて雅ちゃんにまで背中を押されて、私はまた走って図書室へ向かった。




早くしないと、朝のホームルームが始まっちゃう…!




図書室に着くと、珍しく扉はあいてあった。




奥の方から男女の話し声が聞こえた。




ここにいたら帰り際に鉢合わせすると思い、静かに中に入って、死角となる場所で息を潜めた。




「私、岡本くんが好きです!」




「……ん」




女の子は小さくて、とても可愛くて、きっとモテてるだろうな…って感じる子だった。




「俺、彼女いるから」




「私じゃ、ダメですか?」




私までドキドキしてきちゃった。




焦りと、不安。




その2つが頭の中を支配していた。









< 263 / 272 >

この作品をシェア

pagetop