岡本くんの愛し方
「私、行ってくるね!」
椅子から立ち上がり、遠藤くんにそう言うと、笑顔でいってらっしゃい!と言われた。
私は走って教室を出る。
A組の教室の中を除くと、千尋くんは何処にもいなかった。
「あ、すず!」
「雅ちゃん、おはよう!
千尋くん知らない?」
私がそう聞くと、ちょっと驚いてから、笑顔になった。
「さっき女の子に呼ばれてたの。
多分D組の子だと思うんだけど、場所は図書室!
ほら、行っておいで!」
遠藤くんに続いて雅ちゃんにまで背中を押されて、私はまた走って図書室へ向かった。
早くしないと、朝のホームルームが始まっちゃう…!
図書室に着くと、珍しく扉はあいてあった。
奥の方から男女の話し声が聞こえた。
ここにいたら帰り際に鉢合わせすると思い、静かに中に入って、死角となる場所で息を潜めた。
「私、岡本くんが好きです!」
「……ん」
女の子は小さくて、とても可愛くて、きっとモテてるだろうな…って感じる子だった。
「俺、彼女いるから」
「私じゃ、ダメですか?」
私までドキドキしてきちゃった。
焦りと、不安。
その2つが頭の中を支配していた。