その瞳に映りませんように

そのまま駅まで行き、私たちは別れた。


「じゃーね」


彼はいつも通り、お別れが惜しくなさそうな目で、私に手を振った。



楽しそうとか、嬉しいとか、そういう感情は薄そうで、

面倒くさい、つまらない、所詮こんなもんだ、とか、そういう言葉が似合っている。


例えば、きっと美しい夕焼けを一緒に見たとしても、彼にはその7割くらいしか映っていなさそうで。


一緒に格闘技の試合を見に行ったとしても、まわりに合わせて拳は上げつつも、どっちが勝っても別にいいやと思いながら見ていそう。



私はそんな、ユズキくんの目が好きなのだ。





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