その瞳に映りませんように


ブー、ブー。


ポケットで振動するスマホによって目を覚ます。


スマホを取り出し時計を見ると……。


あ、やば! もう放課後じゃん。


「ぶえっくしょい! ……あーこんちくしょ」


昼より気温も下がってきている。

唇が波を打つような、私の父なみのくしゃみを発しながら、ラインを立ち上げた。


『どこ? 保健室じゃないの?』


届いていたのは、ユズキくんからのメッセージだった。


もしかして私を探してくれているのだろうか。


『屋上だよー。宿題やってなかったし授業サボっちゃった』と返すと、

すぐに『待ってて』と再びメッセージが来た。


上半身だけを起こし、掛け布団代わりにしていたブレザーを羽織る。


昼間は頭上にあったはずの太陽は、すでに私と同じ目線まで高度を下げていた。


< 22 / 30 >

この作品をシェア

pagetop