その瞳に映りませんように
ブー、ブー。
ポケットで振動するスマホによって目を覚ます。
スマホを取り出し時計を見ると……。
あ、やば! もう放課後じゃん。
「ぶえっくしょい! ……あーこんちくしょ」
昼より気温も下がってきている。
唇が波を打つような、私の父なみのくしゃみを発しながら、ラインを立ち上げた。
『どこ? 保健室じゃないの?』
届いていたのは、ユズキくんからのメッセージだった。
もしかして私を探してくれているのだろうか。
『屋上だよー。宿題やってなかったし授業サボっちゃった』と返すと、
すぐに『待ってて』と再びメッセージが来た。
上半身だけを起こし、掛け布団代わりにしていたブレザーを羽織る。
昼間は頭上にあったはずの太陽は、すでに私と同じ目線まで高度を下げていた。