神様の悪戯

だんだんとまぶたが下がり始め、寝そうになったとき隣の席が揺れて、ボサッと音を立てて顔が何かに覆いかぶされだ。
ゆっくりとソレをとり、隣の席を確認すると隣には凜ではなく、大智が座っていた。
そして、顔に覆いかぶさったのは大智の先ほどまで着ていた黄色いパーカーだった。


「お前が寝ると隣のやつに迷惑かかるからな」

いびきとかヨダレとか と、悪態ずく大智に「うるさい」と文句を言ってパーカーを返す。

「馬鹿。それを顔に被せて寝ろよ。お前の酷い寝顔を見せたらみんながドン引くぞ」

「……パーカー…ヨダレまみれにしてやるから」

「洗濯して返せよ」


パーカーを顔に適当に被せる。
これでやっと寝れるかなとまたまぶたを閉じようとすると、左耳に着けていたイヤホンを抜かれた。

「ちょ、…とッ」

「いいじゃんオレにも聞かせろよ」

私の左耳のイヤホンは大智の右耳に着けられた。私は反抗するのも面倒臭く感じて、そのまままぶたを閉じて寝てしまった。




直ぐに寝てしまった私に









「…他の野郎になんかお前の寝顔を見せねーし…」




ポツリと呟いた大智の言葉なんて聞いたはずもなかった。
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