ハロー、マイファーストレディ!

再び、タッパーの中のおにぎりに手を伸ばそうと顔を上げれば。
同じように手を伸ばした透と目があった。

「たぶん、昆布はこっちだぞ。」

透が指さした先には、頭から少しだけ昆布がはみ出ているおにぎりがあった。

「あとは…たぶんおかかと、こっちは鮭か。具が全部じじくさいな。俺は、ツナマヨが好き。真依子ちゃんに言っといて。」
「誰が言うか!ツナマヨなんて、邪道だろ。」

親友と呼べる男と、くだらないことで笑い合いながら、俺は迷うことなく昆布のおにぎりに手を伸ばす。


このときは、まだ。
自らが手を伸ばした先に何が待っているのか。
おにぎりの具のように、簡単に予想することは出来なかった。
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