ハロー、マイファーストレディ!

「それで、“熱愛宣言”の反応はどうだ?」

まだ笑いが完全におさまっていない透に問いかければ、奴は傍らに置いてあったタブレット端末を手にして、さっそくニュースサイトを開く。

“高柳議員、熱愛認める”
“「彼女は大切な存在」結婚にも前向き”
“政界のプリンス、本命恋人は美人ナース”

好き勝手な見出しが踊るネットニュースに、読者がコメントを付けていく。
そのコメントの中でも、主に女性からと思われるコメントに注目する。

“熱愛認めた!男らしい!!”
“モデルや女優と熱愛より好感もてる”
“出会いが運命的で素敵”
“プリンスがデレてる(笑)ホントに彼女のこと好きなんだろうな”
“看護師と政治家なんて禁断の恋みたいで応援したい”

ざっと探しただけでも、交際に関してはさほど否定的な意見は見られない。
相手についても、やはり一般女性で看護師という点は好意的に受け止められているらしい。
相変わらず、俺の存在自体が気に入らない人間からの批判コメントが一定数見られるが、これは完全に消えることはないから、ノーカウントだ。

俺があえて、あんな派手な熱愛宣言をしたのには、もう一つ理由があった。
俺が恋愛に積極的だと分かった時の、世間の反応を見るためだ。

まだまだ当選回数の少ない若輩者の俺が、党の中で少しでも影響力や発言力を増していくためには、この絶対的な好感度を利用する他ない。
そして、俺を支持しているのは、大半が女性だ。
ゆえに、この報道で支持層がどのような反応を示すかが重要なポイントだった。

結果は概ね合格。
俺はどうやら結婚してもいいらしい。



相手が、彼女であれば。
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