恋愛優遇は穏便に
「……え、別にどこも」


「えー、どこも行ってないんですかー?」


「五十嵐、最低だな」


せっかくの休みなのにねえ、と二人とも顔を見合わせてブツブツ言っている。


「いやあの、政……所長が部屋の引越しをするのでその手伝いを」


「エッ! 同居始めたんですか!?」


高清水さんと栗林さんは食い入るように私を見ている。


「最初はその予定だったんですが、いい物件が出たらにしようってことになって」


「……そっかあ。この時期はまだないよ。自分らのときも悩んだもんね」


「自分らって……」


「同棲してますが、何か?」


高清水さんが自信を持っていっている。


「まだ始まったばっかりだけどね」


栗林さんも珍しく照れていた。


「早くいい部屋みつかるといいね」


栗林さんは高清水さんをみつめている。

甘い雰囲気が応接室を包んでいる。


「昼間からアツイですよ」


ぽつりとつぶやいてしまった。

二人とも目を丸くしている。


「見せつけるわけじゃないけどな。しかたないだろっ」


照れながら栗林さんがいうと、高清水さんがそれを見て、安心しているようでニコっとほほ笑んだ。
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