恋愛優遇は穏便に
洋食店をあとにして、ぶらぶらと周辺を散歩する。

この地域は海が近いこともあって、都市部よりも風が強い。

公園の木陰で二人、ベンチに座り、休憩していく。

木陰から眺める空はだいぶ薄い青色の空になっていて、着実に秋に近づいているんだな、と感じた。

ぼんやり空を眺めていると、政宗さんの顔が近づき、恥ずかしくなって慌てて下を向いた。


「キスすると思いましたか?」


「ちょっとだけ」


「僕もキスしたいな、って思ったんですけどね、むつみさんが恥ずかしくなると思ってやめました」


「政宗さん……」


「むつみさんを見てると、やっぱり我慢できない。早く部屋に戻りましょう」


ぎゅっと手を握られると、引っ張られるように公園から出て、早歩きで政宗さんの部屋に戻った。

靴を脱ぐのももどかしく、転げそうになりながら靴を脱ぎ、寝室へと連れていかれる。

二人の汗が吸収したベッドの上にやさしく私を押し倒した。

政宗さんは少しずつ私に体重を預け始める。

気持ちよくなり、軽く目を閉じると、お兄さんが来たときを思い出してしまう。

察したのか、政宗さんは私から体を離した。
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