永遠に....
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施設に居たときの日和は誰とも話さず、ただ下を向いていた

施設の人達は、そんな日和を施設の仲間と打ち解けるよう努力したが、日和の過去を知っていたため、仕方ないかと思っていた

日が良く当たる場所で、ほぼ毎日同じ時間に、日和は何をするわけもなくじっと座っていた

慎司は良く施設の前を通っていたため、毎日同じ場所にいる日和が気になっていた

あるとき、慎司は日和を見ていたら、日和の目が慎司と合った

日和の目を見た慎司は

可愛い顔をしているけど、悲しい目をしてる...

と思った

「どうして、いつも同じところにいるの?みんなと遊ばないの??」

慎司は我慢できなかった

「....」

話しかけられたことにビックリする日和

しかし、すぐに顔を下に向けてしまった

「なんだよ...」

慎司は自分を無視する人間がいることに、ムカついた

そのまま去っていってしまった

次の日も次の日も...

日和は雨の日以外は外にいた

日和のことを忘れられなくなった慎司は、雛に相談した

「雛、向日葵荘って何??」

「向日葵荘ですか!?」

5才の子供が施設を気にすることにビックリした雛

「あそこはですね、親がどうしても育てられなかった子達を育ててくれる施設ですよ」

雛は柔らかく言った

「何で育てられなかったの?」

「...お仕事が忙しくて面倒みれなかったかもしれませんね。家庭を持つことは、大変な事なのですよ」

「僕の家みたいに、お手伝い雇えばいいのに...」

「...」

雛は何を言っていいかわからなくなった

「何故、向日葵荘のことを?」

話を変えた雛

「あそこって、幼稚園の帰り道じゃん。いつも、同じ場所にいる子がいるんだけど...」

「気になるのですか??」

「だって、僕が話しかけたら無視するんだよ!」

「そうなんですね...」

「いつも同じとこにいて、どこ見てるのかもわからないし...」

「きっと、親御さんと離れて寂しいのではないでしょうか?」

「親御さん??」

「お父様とお母様のことですよ。慎司様もここのみんなと離れて、一人になったら寂しいでしょ?」

「...よくわからないや」

「...旦那様と奥様とあまり会えなくて、寂しくないですか?」

「寂しいけど、僕にはみんながいるから!」

一人になったことのない慎司には、理解ができなかった

「そうですか...」

説明に苦戦する雛

「そうだ!明日雛が迎えに来てよ。その子見て‼」

「私ですか!?...わかりました」

「やった~」

喜ぶ慎司

「さて、もう寝る時間ですよ」

「おやすみ、雛」

「はい、おやすみなさい」

施設の子を気にする慎司を雛は良い予感はしなかった
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