月星鬼
家に着くと廊下から現れたのはキキで
ニャッ
と鳴くと血塗れになったミールのもとへ駆け寄った。
“危ないなぁ。神一族の囮になってたんでしょ?”
「うん。」
“私も着いて行くべきだった。”
キキは沙季に擦り寄り鳴いた。
そしてペロペロと舐めるキキに
「お前が気に病むことはねぇぞ。俺が守れなかったんだからな。」
と、沙季は声を掛けた。
「沙羽。いらっしゃい。」
いつの間にか立っていたお母さんに呼ばれて入った書室。
「お父さん。」
「沙羽。学校でも警戒態勢に入っておけ。それと時々キキとミールを学校に向かわせる。その際に触れられないようになあの2匹はデリケートで沙羽たちも知っている通りトラウマもある。」
芯が通った瞳で私の目を捉えて命令する。
「分かりました。」
お父さんにも相棒の犬が居た。
けど、トラウマを覚え思い出しいつしか通信すら断ち切ってこの家から姿を消した。
その二の舞だけは避けるように。
簡潔に言えばそうだろうな。
私は眠気が襲いあくびを噛み殺していた。
「沙羽。目が疼くことがあるのなら直ぐに報告すること。」
「はい。」
うなじの刻印は目と同様封印魔力によって見えなくなる。