愛と哀





「おーい、誰もいないのかー?」



徐々に近くなってくる玲央さんの声と足音。


春田くんの体に力が入ってる。



だって私の肩を掴む力が尋常じゃないくらい強い。






「っ……母さん……?嘘っ……何でっ!!」


あぁ、見つかってしまった。

見られた。



階段の下で倒れてる母親の姿を見て玲央さんは動揺していた。




「母さんっ……母さんっ!!」


玲央さんは母親を抱き起こして体を揺すったが、反応がない。

じゃあつまり……。
もう生きてないって事?



玲央さんは涙を流しながら、上を見た。

私達の方を見た瞬間、彼は怒ったように階段を駆け上がってきた。




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