愛と哀
「しかもさぁ」
ガンッと。
やや乱暴に、彼はコップをソファーの前のテーブルに置いた。
「女どもはキャーキャーすぐ騒ぐから嫌いなんだよ。マジで鬱陶しい。あんな顔だけで寄ってくるような連中は大嫌いだ」
一瞬にして豹変した口調と表情。
ゾクッとして、
彼から少し距離を置いた。
「つーか、女なんて信用できるもんじゃねーし」
そう吐き捨てた後、彼は私を見た。
私は怖くて露骨に視線を逸らした。
「もちろん七乃は特別だけど」
彼の手が伸びてきて、髪の毛を触られた。