初恋も二度目なら
・・・部長(このひと)の本音はこうだと、私も薄々気づいていた。
でも、実際本人から言われると・・・なんで?って思って・・・傷つく。

私は一瞬目を見開いて・・・俯いた。
そして涙が外に出ないよう、唇を噛みしめる。

「やっぱり・・・。部長は・・・私が外見的に、キレイに見せる努力をすることが・・・私なんか、がそんなことして・・もムダな努力だと・・・思ってる・・・でしょ・・」

私の二の腕を掴んでいた部長の両手は、いつの間にか私をそっと抱きしめていた。

「思ってねえよ。勘違いすんな、どアホ」
「・・ぅっ。わた、わたしなんか、モテるわけないって、わかってる。けどぶちょ、う。ううぅ・・・」
「小夜(さや)。俺はそうは思ってない。だから・・・・・・ごめん」
「もぅ、いい・・・離して・・・」
「嫌だ」
「ぶちょーのシャツ、ぬれちゃ・・・」
「俺は構わんが・・・」

と部長は言いながら、私の顔を少し上向けた。
そして、ポケットから真っ白なハンカチを出すと、濡れた私の頬を優しく、そっと拭いてくれた。
でも一旦泣き始めた私は、なかなか泣き止むことができなくて・・・。
部長がハンカチで拭いてくれても、涙はとめどなく流れてくる。

ど、どうしよう・・・そろそろ他の人たちも出社してくるのに・・・。

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