初恋も二度目なら
怪訝な顔で見る私に、石塚さんは、「卜部さんは俺より背高いから対象外」と言った。

「あ・・・・・・」
「やっぱこういうことはさ、最初に言っとかないと・・・」
「そう、ですね。でも私、あなたのことは最初から対象外だから。じゃ」

・・・久しぶりに悔しいと思った。
でも私は最後まで笑顔を貼りつけたまま、穏やかな口調で石塚さんに言うことができた。
そして「美しい歩き方講座」で習ったことを思い出しながら、背筋を伸ばして堂々と、優雅に歩いてその場を立ち去った。

もう背が高いことが恥ずかしいとは思ってない。
でも、ここにはいたくないから・・・帰ろう。

その前に、部長に一言言っておいた方がいいよね。
何も言わずに帰ったら、また「どアホッ!」って怒鳴られる可能性が・・・非常に高いし。
あぁ、こんなことならスマホを持ってきてればよかった!
でもスマホで事後報告をしても、部長は「どアホッ!」って言うだろうな・・・。

私はハァとため息をつくと、部長がいる小さな群れのところへ歩いて行った。


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