初恋も二度目なら
「元々ここにはよく来てたんだ。だからアメリカ(あっち)行ってた間は、あの味が恋しくてさ。帰国を機にここの近所に引っ越したのは、そのためでもある」
「ホント!?」
「半分」
「あ・・・もう、部長ったら」

こらえきれずに、私はクスクス笑いだした。
でも、「ここのハンバーグ、おまえの味つけに似てんだよ」と部長に言われて、私は笑みを止めた。

「特に煮込みハンバーグが」
「ぶちょ・・・」
「だから今度、俺のために作ってくれ」
「部長・・・」
「親友として。深い意味はない」
「あ、だったら・・はいっ。喜んで」

でも、「作ってくれ」と頼んだ部長の顔は、懇願しているような・・・少し切なく見えたような気がして。
親友じゃなくても、私でよければ作りたいと思った。

部長、あなたのために。

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