初恋も二度目なら
「小夜(さや)らしい考えだな」
「そ・・・うですか」
「だったら今後、川端の誘いには乗るな」
「え?なんで・・・」
「おまえにその気がなくても、川端にはその気がある。そしておまえはニブい。川端程度の野郎からでも少し押されれば、流されてつき合い始めるに決まってる」
「そっ、そんなことない!」
「いいや、ある」

私たち、いや、少なくとも私は、部長を思いっきり睨んでいた。
対して部長は、私の睨みを真っ向から受け止めている上に、唇にはうっすらとニヤけも見られる。

くっ・・・くやしい・・・!

「部長、私の恋愛事情に首を突っ込むのはやめてください」
「俺は」

と言った後、何も言わない部長を、私は怪訝な顔で見た。

「部長?」
「・・・あさみさん・・・」
「えっ?」

いつの間にか部長は、私ではなく、私の向こうにいた女性を見ていた。

「あれ・・・?やっぱり!悠里くん、だよね?」
「当たり。こんばんは・・あ!おいっ待て!小夜!!」

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