初恋も二度目なら
そんなどんよりした気持ちを、土日の間存分に味わったおかげか、週明けの月曜日には、比較的いつもの調子で、いつもどおり30分早く、私は会社へ行った。

でも部長は私より早く、一番に出社していた。

部長は掃除道具を両手に持ってる私を、睨むように見ながら椅子から立ち上がると、「おはよう、卜部」と言った。

うっ。なんか今の声・・・不穏な響きだった気が・・・。

無意識に一歩後ずさった私を見た部長は、さらに斜め上から私を睨みながら、あっという間に私を壁に追いつめた。

「ぶっ、部長!?」
「てめえ・・・いきなり消えてんじゃねえよ、このどアホッ!」
「だ、だって・・・」
「“だって”じゃねえ。俺はおまえの新しい番号も住所も知らねえんだぞ!心配するだろーが、どアホッ!」

部長に「どアホッ!」と連発されなくても、私は十分アホですから・・・と思いつつ、私はシュンとした顔で、「すみませんでした」と部長に謝った。

たぶん部長は私を心配して、わざわざ朝早く来てくれたんだよね。
と思ったら、申し訳ない気持ちがドッと湧いてきた。

「・・・部長」
「なんだよ」
「コーヒー、淹れてきます」

それで許してください、じゃないんだけど・・・今、私が部長にできることは、これくらいしか思いつかない。
そんな私の思いが通じたのか。
部長はムスッとした顔を少しだけ和らげると、「その前に、おまえの番号教えろ」と言った。

う。まだ部長の声は少々不機嫌だけど、全体的な機嫌は大分良くなったみたい。

私はホッとしながら、「じゃあスマホ、取ってきます」と言うと、更衣室の方へ駆けて行った。


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