初恋も二度目なら
それ以上にすごいのが、体重よりも、体型の変化だ。
LLサイズから、LまたはMサイズの服が着れるようになった!
13号の制服は、当然ゆるくなってしまったので、上はともかく、最初はスカートのウエスト部分を曲げて着ていた。
でもそうすると、スカートの丈がその分短くなってしまう。
かといって、裾を出せるだけ出して丈を長くしても、元の折り目がどうしても取れないし、何より出せる長さ自体があまりない。
苦肉の策として、スカートに似た色の布地で、ウエスト部分にベルト通しを縫いつけて、細いベルトをつけている。
幸い夏はベスト、冬はジャケットを着てるから、ウエストとベルトの部分が見えることはない。

あぁ、こんなに身軽だと思えるようになったのは、人生初!

でも私の場合、おなかや太もも、胸といった、服を着ると隠れる部分に、ムッチリと脂肪がついていたし、ゆっくりしたペースで体重を落として体型を変えたので、社内の人たちは、私が痩せたことには気づいてないと思う。
サイズ変更した制服を頼んでもいないし。
相変わらず分厚いレンズのメガネをかけて、腰近くまである髪は、鬱陶しさ防止のために、いつもお団子にまとめているし。

『・・・おまえの裸眼を見ていいのは俺だけだ』
『小夜の髪はとても豊かでセクシーだ。だから髪はおろすな。誰にも見せるな。特に男には。おまえの髪をほどくのは俺だけの特権だ・・・』

・・・長峰さんは、“アレ”をするとき、よくそう言ってた。
実際メガネを外すのも、お団子にしている髪をほどくのも、彼の役目だった。
彼にそうされて見つめられると、自分がとてもキレイでセクシーな女だと感じたものだ。

6年経った今は、長峰さんを見返したいとも思ってないし、あの人に「キレイだ」と言ってほしいとも思わない。
ただ、この変化を会社の人たちに気づかれたいとは思わないから、仕事ではコンタクトをしないし、髪型も変えない。

もう社内恋愛はしない。したくないから。


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