初恋も二度目なら
それから数時間後、私のスマホが鳴った。

「あ・・」

川端くんからだ。

「はいっ。卜部です」
「あ、俺。おつかれ」と言う川端くんの声は、いつもどおり優しい響きを帯びている。

別れ際、何となく気まずい雰囲気が流れていたと思ったのは、どうやら私だけだったみたいで、ホッとした。

「どうしたの?」
「今度“グリーク”観に行かね?」
「あ!あの超話題作?」
「うん。俺、あーいうアクションものも好きなんだよなー。映像もキレイだと思うし、卜部ちゃんも好きそうじゃないかと思って」
「あぁ、うん。いいけど・・・」
「よし!じゃあ来週から公開だからー・・5月4日あたりに行こう」
「え。あの・・」
「チケット代は俺出すから」
「え!そんな・・・」
「あれ3Dだから、コンタクトつけて来いよ」
「あ、そうなの?分かった。けど・・・」
「それから、次はスカートはいてきて」
「・・・は?」
「できたら髪も下ろしてきてほしいんだけど」
「あの・・でも下ろすと暑い、から・・・」
「そっか。分かった。じゃ、4日ってことで」
「う・・・ん」
「詳細はまた電話する。これも内密に。特に部長にはトップシークレットで進めよう。な?」
「・・・うん」

なんか川端くん、急に強引になったような・・・。
私・・・流されてない、よね?

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