恋のお相手は小さな男の子
少年は実は……



創立記念日とやらで、今日は午前授業しかない。


去年は午前授業が終わってから、夕香やクラスの友達とカラオケに行って楽しんでいたんだけど今年は違う。


今年は夕香との約束で夕香の行きたい大学の学部説明に行く事になっているのだ。


何でも学部毎にブースがあって、そこで現生徒が学部の細かな説明をしてくれるらしい。


夕香いわく、生徒によるものだから質問もしやすいっていう利点があるとか。


学校を出ると、夕香と共に一直線に夕香の行きたい大学へと歩を進めていく。


入り口の大きな白い門が目に入る。


その瞬間、少しだけ夕香の歩くペースが速くなったのは、速く話を聞きたいというワクワクして気持ちの表れなのだろう。


大学の校内に足を踏み入れると、


「夕香の行きたい学部って、法学部だっだよね?」


そう確認をした。



「うん、そう。行政書士になりたいんだよね」



私の問い掛けに答える夕香の目は真っ直ぐ前を見てキラキラとしていて、大学に入ってからの自分を想像しているのかもしれない。


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