恋のお相手は小さな男の子
少年に進路指導されました



休み時間に自分の席に座ったまま、じーっと見つめても何も変化しない紙。


それでもずっとその紙を見続ける。


『進路希望調査表』を。



「さっきから眉間に皺寄せて何を見てるのかと思ったら、進路希望の紙か」



ひょいっと私の見ている紙を横から覗いてきたのは夕香だ。



「夕香は、……もう書いた?」


「そりゃ、提出明日までだし。書いてもう出してる」


「もう提出しちゃったの!はやっ!!」


「だって、進路決まってるし」



平然と答えられる夕香が羨ましい。



「あっ、……そっか」



夕香は1年の時からやりたい事がずっと決まってた。


だから、進路希望を書く事だって悩む筈がないんだ。


打って変わって私は、……真っ白なまま。



再び真っ白な紙へと目をやると、「はぁ……」と思わず溜め息が漏れた。


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