クリアスカイ
拒絶
金曜の夕方、修二は一度だけ訪れた事があるその場所を目指して足早に急いでいた。

つー君が言っていた事が事実ならアツシは出勤してくるはずだった。
金曜を選んだ理由は明日は会社が休みなので、時間を気にしなくてすむからだった。もし今夜アツシに会えなければ明日の夜も来るつもりでいた。

こんな形で週休2日制が役にたつとは思ってもみなかった。
修二は皮肉に感じながら、目的の居酒屋の前にたった。
看板に灯りがついていて営業が始まっているのを確認する。扉は木製でできていて中の様子まではわからなかった。
暫く店に入るか迷っていた。中に入らない事にはアツシが居るかどうかもわからない。
悩んだ末に修二は店から少し離れた位置まで戻ることにした。
携帯すら折り返してこないのだ、もし店内で互いの存在にきづいたらアツシは避けるように逃げてしまうかもしれない。
そんな気がしていた。


アツシが出勤していることを信じて、店からでてくるまで待つより他になさそうだった。
修二は手持ちぶさたな様子でウロウロしていたが、いかんせん不審すぎると思い直して、道路を挟んだ向かいのファミレスで待機することにした。
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