クリアスカイ
店内は割とすいていて、四人掛けの席についてもさほど嫌な顔はされなかった。とりあえずコーヒーを注文し煙草を吸った。
座った位置からは居酒屋の出入口とその少し横にある小さな通用口がハッキリ見えている。
ここならどちらからアツシが出てきても大丈夫だと安心した。

時刻は8時少し前だった。居酒屋なのでおそらく閉店は午前を回るだろう。
「長期戦だな…。」
修二は呟くと溜め息をついた。


ついこの間まで週末はいつもの店で楽しく笑っていたのに。

修二は改めて今自分が置かれたこの状況に肩を落とした。本当は須藤にも事情を話し、つきあってもらおうかと考えていた。
しかし、なにぶんにも須藤は家庭がある。声をかければ来てくれたかもしれないが、修二はそれをしなかった。
よからぬ事態が発生した時、須藤を巻き込みたくなかったのだ。
アツシに会わないことには詳細が掴めない。
須藤にはそれらが済んでから話そうと決めた。



時間がやけに長く感じていた。みんなで飲んでいる時は驚くほど速いのに、今日は一人のせいもあって時間の潰し方がわからない。
ひたすら携帯を閉じたり開いたりしていた。
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