セカンド☆ライフ

タレント

接見の日、俺と詩乃は中央橋を渡り西側へ向かった。

《佐和田さん、水辺です》

《今どこだ?》

《中央橋を渡ってます》

《了解した、俺もすぐに行く》

橋を渡りきったところで佐和田のオッサンと合流した。

『リーダーのいる遺族会本部に案内する、くれぐれも失礼のないようにな』

『努力します』

狭い路地に入り、古い洋風の空き家へ入る。
中は薄暗く、高級そうな家具が並んでいる。

『佐和田です』

『入れ』

奥の部屋の扉の前、オッサンの声に中から女性が返事をした。

部屋の中には一人の女の子がいた。
小学生くらいであろうか。
腰まであろうかという艷やかな黒髪に十二単、王様でも座ってそうな豪華な椅子に腰掛けている。
セカンドなのだから実際に座っているわけではないのだろうが…

(実際の幼女の前だとしのちゃんも大人びて見えるな)

『こちらが遺族会代表の環(タマキ)さんだ』

『よろしくな少年』

『は?幼女じゃん』

『な…水辺!』

『佐和田、よい』

『しかし…!』

『セカンドを見た目で判断するのは無意味じゃぞ少年』

(じゃぞ!?)
『中身は幼女じゃないってこと…ですね』

『生きておれば800歳じゃな』

(生きてねぇよ絶対に!)
『えっと…それで…俺達はなぜ呼ばれたんでしょう?』

『ふむ、少年、リンクを使えるそうじゃな?』

『えぇ、多少は』

『多少か、して?リンクとはどんな能力だと解釈しておる?』

『ん〜、フォローの上位版…かな?フォローよりもさらに深く相手に入り込むと言うか…』

『ふむ、では娘』

『は…はい!?』

『お前さんはノイズなしで物理干渉ができるそうじゃな?』

『あ、はい…少しだけ…』

『お主はその力、どう思う?』

『わかりません…』

『バカップルめ』

『んなっ!』
(幼女に罵られる…悪くないな)

『バインド』

!?
突然体が締め付けられる。

(動けねぇ…)

『儂は今、お主に物理的に干渉しておる、これが儂の【タレント】じゃ』

『た…タレント?…子役か?』

『たわけ』

さらに強い力で締め付けられる。

『ちょっ!?出る!!内臓出るから!!』

『ゆいりくん!?私達に内臓はないよ!?』

『そ…そこは…内臓はないぞう…って…言わなきゃ…』

『あぁ!ごめん!!』

『まったく…』

締め付けから解放された。

『ぶはっ!なんだ今の!!』

『タレントのことは知らんようじゃな』
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